2011年5月31日火曜日

池上彰氏推奨「日本ならではの新エネルギー原発20基分の地熱資源を活用すべき」の妄言


(元記事)菅首相が「俺の大好きな」と言ってはばからない風力発電 朝日新聞「風力なら原発40基分の発電可能」を専門家が批判

≪この記事を厳しく批判するのが、環境問題が専門の安井至東大名誉教授だ。
「原発40基分など常識的に考えてあり得ない。環境省はポテンシャル(潜在的なエネルギーの総量)の数値を発表しただけで、現実に発電可能な数字ではない。混同してはいけません」
 
安井名誉教授の試算によれば、原発1基(100万kW)を代替するには2000kWクラスの風車(稼働率24%)が1770基必要だという。原発40基分なら7万基だ。現在、日本には1600基の風車があるが、その43倍に相当する。
 
「私は環境省の『地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会』の委員を務めていますが、委員の中で風力が最有力だという人は1人もいない。風力や太陽光のような“揺らぐ電力”は主力とはなりえない」(安井名誉教授) ≫

風力発電に対する批判は正鵠を射ているが、そこは東大の先生。環境問題が専門というのは比較的最近の話で、もともとはセラミックスがご専門だった。
例によって原発推進派だったが、原発事故以降は地熱発電にご興味がおありのようだ。

(参照記事)バイオ燃料製造に国際指針 23カ国承認、持続的発展目指す [11/05/25]

バイオ燃料というと、ブッシュ前大統領が騒いだトウモロコシの買い占め事件を連想させる。
結局、世界の食料価格を高騰させ、開発途上国で大量の餓死者を発生させただけで終わった企画だったが、性懲りもなくまた一騒ぎしそうだ雰囲気だ。

≪ヤシなどの農作物からバイオ燃料を製造する際のガイドラインが初めて作成され、米中など23カ国がこれを承認した。
ヤシから取れるパーム油は、料理に使われるほか、洗剤や燃料の原料としても利用される。≫

食料に利用できる油をバイオ燃料してももったいないだけだろう。
こんなろくでもない企画を多国間でやらかそうというのは胡散臭い限りだ。

(参照記事)海洋バイオマスからバイオエタノールを生産する技術を確立/京都大

日本のバイオ燃料は藻類が主流になっている。
日本は海洋国家で、対象の藻類も食料と競合していないことからかなり有望なのだが、実用化にはほど遠い。

もっと安上がりの燃料が開発されたら、また日陰者に逆戻りしてしまいそうだ。

(参照記事)【香川】うどんからバイオ燃料生産へ

一見合理的に見えて、この手の企画は効率が悪い。いくら原料がタダでも設備投資に金がかかりすぎるのである。

家の周囲を太陽光発電装置と風力発電装置で固めて、「我が家のエネルギー代はタダだ」と自慢しているような話である。

(参照記事)伊藤忠、廃油活用のバイオ燃料製造へ-米ベネフューエルに出資[11/03/01]

これは大震災以前の記事である。
どぶに捨てられた廃油を回収して食用油として販売している中国ならいざ知らず…。

(参照記事)中国の食用油、10%が廃油を利用 当局が取り締まり強化を発表

(参照記事)中国製即席ラーメン学生2人中毒死は「下水溝油」が原因と判明

日本で廃油を回収したら、人件費がムチャクチャかかってしまう。

(参照記事)地上に太陽を作り出す…原子力発電(核分裂発電)に代わる「核融合発電」実現に向け、九大がプラズマ実験装置を初稼動

核融合炉は新エネルギーの王道だが、どう見ても自然エネルギーとは無関係である。
研究開発費に金がかかることは原発の比ではない。
しかし、政府が核融合炉に言及しないのは不自然である。「やばい」と思ってほとぼりが冷めるのを待っているのか?
原子力推進利権派の虎の子なので大事にしたいのだろう。

(参照記事)池上彰氏 「日本ならでは」の新エネルギーに注目すべき 原発20基分の「地熱資源」を活用すべきと提案

池上氏が何を言い出すかと思いきや、安井東大名誉教授ご推奨の地熱発電ですか。

地熱発電

≪地熱発電はコストが高いとされているが、近年になって費用対効果も向上しており、近年の実績では8.3円/kWhの発電コストが報告されている。≫

確かに太陽光発電よりは現実的なコストである。ただし、この試算がどのようにして出されたものなのか不明なので、コメントしようもない。原発だって、一時は5円/kWhなどと、臆面もなく主張していた。現在では11円/kWh以上で、廃炉代や原発事故補償費も修正加算すれば天井知らずである。

地熱発電は発電効率が悪く、設備投資に莫大な金がかかる点が「泣き」なのである。一見無尽蔵にあるような「地熱」だが、効率よく回収できる場所は自ずと限られて、しかも官庁間で利権対立しやすそうな場所にある場合が多い。

大規模にするほど発電コストは抑えられるのだが、そうするとさすがに環境問題も考慮せざるを得ない。

火山国ではあるが、国土の狭く利権構造が複雑な日本では、意外と不向きな発電法なのである。
環境に対する影響度は水力発電といい勝負である。

ただし、この発電方式のメリットは、日本ではダメでも、外国にプラントを売りつけることが可能だ。したがって、研究を進める価値は大いにある。

地熱汲み上げによる環境破壊に関しては未知数である。温泉源の枯渇や地盤沈下、地震の誘発、有毒ガスの流出などに関して、現段階ではその因果関係がよく判っていない。
原発事故同様、事故ってから判明することにもなりかねない。

国立公園内に無骨なプラントを作っては景観を損ねるのも事実だろう。
何れにせよ、池上氏が騒ぐほど画期的な発電方式とも思えない。

(参照記事)関門海峡で潮流発電 北九州市、九工大と実証実験へ

地熱発電以上の際物企画だが、1000万円の予算ならご愛敬だ。環境問題などを考慮すると、水力発電よりも影響が少なそうだ。(…と思うけど)
水力発電と比較すれば、施設費用が割高で、発電効率が低い観は否めない。

実用にはほど遠そうだが、いろいろな可能性を研究することは良いことである。


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